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「…愛とHは違うよ?」「ベロチュー、したことあるの!?」

 こんな過激なセリフやキスシーンが数多く見られる、AKB48チーム8単独の舞台が7月19日、東京の天王洲銀河劇場で初日を迎えた。(22日まで計7公演)

⇒【写真】ゲネプロより

 タイトルは「KISS KISS KISS」。題名の通り、「キス」をテーマにした短い物語が連なる、全篇オリジナル脚本、オムニバス形式の舞台だ。

 幕が開くと、新約聖書を元にした古典の戯曲「サロメ」のシーンから物語が始まる。その後、民話「白雪姫」や、アイドルの舞台裏と日常、刑務所、事故物件など、様々なシチュエーションに切り替わっていく。物語のジャンルも、ファンタジー、青春ドラマ、ラブストーリー、コントと幅広い。

 そして、それぞれのシーンにおけるキーワードに紐付いたAKB48の楽曲を歌い踊り、物語と物語の間をつないでいく構成となっている。

 出演者は、横山結衣(青森)、佐藤七海(岩手)、佐藤栞(新潟)、太田奈緒(京都)、山田菜々美(兵庫)、大西桃香(奈良)、濵咲友菜(滋賀)、人見古都音(岡山)、行天優莉奈(香川)、立仙愛理(高知)、谷口もか(宮崎)の11人と、日替わりゲストの倉野尾成美(熊本)。

 2日目以降のゲストは、小栗有以(東京)、小田えりな(神奈川)、永野芹佳(大阪)、谷川聖(秋田)、岡部麟(茨城)が順に務める。

◆“ベロチュー”したことあると思わせたい

 公式の説明では「出演者12人が全員メインキャスト&サブキャストを交互に務める」とあり、それぞれの見せ場がしっかり作られているが、メンバーごとに演技の経験値が違うため、やはりセリフ量には差がある。

 特にセリフ量が多かったメンバーのひとりが、太田奈緒。AKB48内の企画「劇団れなっち」オーディションがきっかけで、有名映画監督の堤幸彦から認められ、彼が演出する舞台に二度出演している、チーム8屈指の演技力の持ち主。各シチュエーションで物語を引っ張る重要な役を担っていた。

「演技経験はない」といいながらも、声量と表情ともに舞台上で大きな存在感を放っていたのは、戯曲「サロメ」で主演の王女・サロメ役を務めた横山結衣だ。

 この物語では、クライマックスの王女の踊りが非常に重要な要素となっているのだが、ダンスの得意な横山ならではの躍動感を感じさせるできとなっていた。演出の横内も「(彼女の)踊りを見なかったら『サロメ』はやらなかったかも」と言うほど。

 シチュエーションごとに役がどんどん切り替わるなか、濵咲友菜は演技の振り幅が大きさを見せた。白雪姫のそばにいる小人や、ラーメン屋のアルバイトといった、本人の子供っぽさを活かしたコミカルな役柄から、過去の「ベロチュー」経験を語るアイドルまで、幅広い役を演じ分け、そのギャップで観客を楽しませていた。

 本人も、ゲネプロ後の囲み会見で「(大人っぽいセリフを)言わなそうな、私が言うからいいと思うので(笑)。一生懸命、ベロチューをやったことがあるように思わせる演技をしたい」と語っていた。

◆香取慎吾や草なぎ剛のようなスターが生まれる可能性も?

 演出・脚本を担当したのは、横内謙介氏。劇作家として「世界のニナガワ」として名高い蜷川幸雄の演出作品で脚本を数多く手がけ、演出家としてはテレビドラマに舞台、スーパー歌舞伎など幅広く活躍する演劇人だ。

 実はアイドルとの仕事経験も豊富。「6人時代のSMAPメンバーに脚本を書くところから、アイドル演劇との関わりが始まった」といい、’90年代に稲垣吾郎、香取慎吾、草彅剛らの主演の舞台などを手掛けている。近年では’15年の『HKT48 指原莉乃座長公演』でも、演出とオリジナル脚本の書き下ろしを担当。

 横内氏は、「あのときは誰も、あそこにいた香取さんがミュージカルの主役をやるとか、草彅さんが演劇で賞を取るなんて思ってなかったんですね」と昔を振り返り、「長い歴史を見ると、こういう瞬間こそが、スタートとなる。いつかこの中から、ミュージカルスターや大女優が生まれるんだと信じながらやっています。密かに、ものすごい応えがあって、この中からすでに演劇にハマる子がいるだろうと思っている」と期待を語った。

 演劇にハマるであろうメンバーの名前は明かされなかったが、今作は「全員が主役」。それぞれが大きく殻を破る可能性を秘めている。未来の大女優が羽ばたく瞬間は、見逃せない。

取材・文/森 祐介 撮影/日刊SPA!編集部
(この記事は社会(週刊SPA!)から引用させて頂きました)